あらすじ
目を覚ますと、そこは知らない空だった。
青でも黒でもない、無数の光がきらめく巨大なスクリーンの中。
気づけば、才塚アキコは学校の机の上ではなく、見知らぬ草原に立っていた。
「……え、ここどこ?」
制服姿のまま、手に握らされていたのは見覚えのない剣。
足元には、数字とアイコンが浮かび上がる光のパネル。
それは現実ではなく――《メイキング》と呼ばれる電脳世界だった。
次の瞬間、アキコの視界を赤い警告文字が覆う。
《チュートリアル開始。敵性プログラムが接近中》
「ちょ、待って!? まだ状況が――」
叫ぶ暇もなく、漆黒の獣が地平線を駆けてくる。
目の前に迫る牙の群れ。
現実感のなさが、逆に恐怖を増幅させる。
アキコは思った。
――私、アニメの主人公になったの?
だがこの世界にセーブもリセットも存在しないことを、彼女はまだ知らなかった。