あらすじ
幼少のころから絵を描くことが好きだった『居海庸(いかいよう)』のその才能には、当時から目を瞠るものがあった。
しかし彼に備わっていたのは、単に描画の能力だけではなく……。
あわせ持った怖ろしい力に彼が気づいたのは、中学生のころ。
それからというもの、忌むべき能力を彼は封印した。
だが高校への入学早々、それのままならない事態が起こった。
結果、恐るべき力は全校へ知れ渡ることとなり、次いで何の因果か、怪事件も学園に勃発し……。
もちろん彼のなしたことではなかった。
―――が、生徒たちの怖れ、怯えの視線は、事件が続発するごとに増し、彼が孤独の道を歩むまでに時間は必要なかった。
そんな学園生活も二年目を迎えたとき、同じクラスになった『石井由実(いしいゆみ)』に彼は惹かれる。
彼女だけは、彼に畏怖の目を向けることのない唯一の生徒であり、また彼と同じように、孤独を貫いている強気な女子でもあった。
三年にあがっても同じクラスになった由実の秘密を、ある日、奇しくも彼は知ることとなる。それは想像もできない衝撃的なもので……。
同時に、彼女も絵画制作が趣味であり、力量も彼に引けをとらないものであることが判明した。
同趣味がきっかけで、ふたりの間柄は徐々にではあったが近づいてゆき、今まで苦しかなかった学園生活に、彼は喜びを抱くようにもなっていた。
また、喜悦の裡には、彼を絵の師匠と慕ってきた、新入生の『覚野未来(かくのみらい)』の存在も大いに含まれていた。
が―――。
怪事件は未来の身にまで及んでしまった。
しかも一連の事件の要因には、由実が我知らず、大きく関与していたことも明らかとなり……。
なんとしてでも彼女たちを救いたい!
募る焦燥の思い……。
それが封印していた彼の力を、ついに解き放った。