あらすじ
社会人二年目を迎える菊地瞬は最近、仕事が順調である反面、プライベートでちょっとした悩みを抱えている。
それは高校時代から付き合っている恋人、相澤未来とのことで、ここのところ二人の関係は少しだけギクシャクしていたのだ。それというのも、彼には少しばかり不思議な能力が備わっていて、そんなことが彼女との関係にも影響してしまったのかもしれない。
死んだ者たちの姿が見える。
フッと目の前に姿を現し、瞬の都合などお構いなしに心の叫びを訴えるのだ。
彼はできる限りそんな声に耳を傾け、天に上がっていけるよう手助けするようになっていた。そしてある日、会社帰りに一人の少女に出会ってから、それまで疑いもしなかった日常に微かな疑念が広がり始める。
彼は少女に指一本触れることができなかった。そこにいるように見えて、本当のところ少女は実在などしていないのか?
瞬はその後も、次々に触れることのできない者たちと関わることとなる。
それらはすべて、死んでしまった存在である筈だった。しかしいつの日からか、それらが生身の人間にすり替わっていたのである。
あの時、少女は紛れもなく生きていた。
霊だと思っていた大男が、「おまえは悪魔だ」と叫んだ途端、目の前で血だらけになって死に絶える。
天へと導くなんてトンでもない勘違いだったのだ。
そんな事実に恐れ慄き、更にこれまでの世界こそが現実ではないと知ることになる。
あまりに頼りない記憶に戸惑いながらも、瞬は変わり果ててしまった未来と一緒に、何世代にも亘る血脈の旅へと出掛けていく。そして、瞬と関わり、死に至った者たちに導かれ、二人が島根県出雲の地へと旅立つ時、ついに予想だにしなかった運命の扉が開かれるのだった。