あらすじ
龍の死骸が空から降り注ぎ、世界に「魔素」という根源のエネルギーが広がった日。
九州一帯は、最も大きな破片――《ドラゴンハート》が落ちた地として、濃密な魔素に覆われた“魔の森”へと変貌した。
そこは結界で閉ざされた特別指定区域。誰一人として、容易には近づけない。
偶然山に登っていた青年・凛は、森の生成と同時に取り残される。
彼の中では、知らぬうちに《魔晶石》が育ちはじめ、
外界の霧=自然魔素を取り込み「自分だけの魔素」を生み出す特異な体質が芽生えていた。
魔の森に棲むのは、魔晶石を核に魔素を操る“魔物”たち。
中には炎を纏うもの、氷を放つもの、毒や風を操るものもいる。
一方、森の外に広がる世界では、魔素が分解され変質した“魔力”を扱う人々や魔獣が、魔法を使って生きている。
凛は食糧を求め、腐肉を口にしながらも、
霧を取り込み、魔素を手に纏い、少しずつ変わっていく自分を感じる。
やがて魔晶石が成長すれば、彼の肉体は魔素で構成される“魔人”へと近づく――
だがその力は、感情の欠落と凶暴性という代償を秘めていた。
森の奥には、まだ名も知らぬ白い影。
そして、中心に潜む《ドラゴンハート》。
凛は、自分だけの魔素を武器に、三年をかけて森を踏破し、
やがて魔人として頂点に立つ運命を選ぶのか、それとも――。
生と死、理性と本能、そして人の心を賭けた、
“根源の力”をめぐる長き旅が、ここから始まる。