あらすじ
何を言うのか。
誰が言うのか。
重要なのはどちらだろう。
まだ答えはわからない。だが1つだけわかった。
☆
「俺はお兄さんなんて年齢じゃない。オジサンだ」
「逆パターン初めて聞いたよ」
「そうだな。言葉なんて言うものは、100を伝えて1が伝わればラッキーだ」
「じゃあね! 最期にアナタに会えて良かったよ」
「俺は方向音痴でな。道を間違えた」
「さてどうする魔物たちよ。このまま続けるか? ならば細切れにしてやろう。十数年前のようにな」
「感謝されてないのは知ってたけどさ、疫病神とか……そんな事言われてるのは知らなかった。村のために戦ってたつもりなんだけど、アタシって……いないほうが良かったのかな……」
「アナタがアルバート様だとは知らず、無礼な言動を……! 過去の自分を殴ってやりたい! どうかお許しください……!」
「ハッキリ言おう。この村は異常だ。ガーディアンへの感謝もなく、偏見と偏った常識で支配されている」
「言葉通りだ。俺はキミが気に入った。旅の同行者として無理やり連れて行く」
「ごめんね。アタシ……ホントはそんなに話すタイプじゃないんだ。明るく元気なシャルムちゃんは、無理やり作り上げてた虚像なの」
「世界を救った英雄は謙虚だねぇ。まぁ全力出し過ぎたら正体がバレて大騒ぎになっちゃうし、しょうがないか」
「キミたちと会話をするつもりはない。だが死ぬか逃げるか……その2択だけは選ばせてやろう」
「ゲゲッ……左腕で許してくれないかな」
「お父さんに背負われるのって、こんな気持ちなのかな。子供になった気分」
「じゃあ言い方を変える。アタシ、アルバートさんみたいになりたい」
「何を言うか、誰が言うか。キミはどちらが大切だと思う?」
「そうですか? 平等であることは当たり前であり、素晴らしいことでしょう?」
「ずいぶんと差別主義的な考えをお持ちなんですね」
「問題ありませんよ。アナタのように物わかりの悪い人間も差別しませんから。無能でも気に病まないでくださいね」
「だがこれを平等として語る人間もいる」
「最後に……【第7の平等】だ。これはとてもシンプルで簡単だ」
「平等など幻想だ。悔しければ強くなるしかない」
「この旅は……この物語に結論などないさ。俺がいろいろな村を見て回るだけの旅だ。解決法やスカッとする仕返しが見たいのならば、この旅からは離脱することをオススメする」
「俺は主人公じゃない。大活躍して見事に問題解決なんてできない。それらを求めているのなら別の物語を読んだほうがいい。別の人間と旅したほうがいいさ」
「明日が怖い。眠るのが怖い。眠っちゃったら明日になる。またいつもと同じ日常が始まってしまう。眠りたくない。でも眠らなきゃいけないことも本当はわかってる。ちょっとずつ時間が経過して、それに応じて首が絞められる感覚。呼吸の仕方もわからなくなって、ただただ朝日に怯えてる」
「アレは【スペシャルホン】と呼ばれるものです。通称で【スペホ】と呼ばれています」
「人工知能ってやつだよ。【ティオ】と呼ばれる人工知能が、最近は大流行している」
「そうだね。まずはオススメをいただいてみようか。牢屋に行っては坊やに従えって言うし」
『それはアナタが一番良く知っているでしょう?』
「俺もそう思っていたが……自分が思っているより自分は卑怯で卑劣なものだ」
「賢い人間は、自分が知らないことを知っている」
「本来の自分から逃げて、輝かしい今の名前に固執しています。かつての惨めな自分に戻りたくないから。今の楽しい生活を手放したくないから」
「いいじゃないか、優柔不断。もっと……ふたりで迷っていこうぜ。迷って迷って考えて……悩んで苦しんで、そうやって旅を続けよう。アナタと一緒なら悩むのも悪くない」
「人間って……そう思いたいから、そう思うんですよ」