あらすじ
的場来次(まとばらいじ)がこの世界に生まれてから十六年。
彼が前世で大好きだったゲーム「汝(なんじ)、高みを超えてゆけ」……通称ナンユケの世界に転生したと知ってから十六年。
彼は主人公でも重要人物でもない、能力もスキルも低い、見たこともないモブとして生活していた。
ヒロインや主人公たちと仲良くなり、伸びない才能の代わりに知識と努力で技術を磨き、なんとか荷物持ちとして勇者パーティーに参加し、ラスボスを倒した。来次が活躍することなく、世界は平和になったのだ。
「それでも最強になるんだ」
前世でやったゲームのエンディングのその後を迎えても、来次の中でヒロイン……大事な人を守れる最強になろうという思いは変わらず――二年生の春、始業式の日になった。
その日、彼の運命は大きく変わる。
彼は知らなかったが、彼が転生したキャラクターはナンユケの次回作「汝、運命を変えてゆけ」の主人公だったのだ。
「技術しか磨くもんがなかった俺が成長しだしたら、テメーには負けねえよ」
「えっ、なんか推しが妙に優しいんだけど……うう、さすが大天使……」
ナンユケ2の主人公として、ゲームが始まるまで初期値に近い能力しか持てず、ヒロインとも結ばれないように制限されていた少年。
それでも強くあろうとした彼の快進撃が、今始まる。
「推しを邪魔する鉄塊があれば、俺の足が挽き潰れるまで蹴り続ける!!」
「推しの肉壁になるんだ……手が吹き飛べば足で、足が無くなれば頭で、頭が吹き飛べば再生してでも……」
……ちょっとキモくてヤバい感じで。