あらすじ

秋の終わり、シャッターの降りた会議室で、心音は“鑑定眼”をこすった。目が合った相手の頭上に一瞬だけ肩書が浮かぶ——『並び待ち勇者』『差し入れ大司教』。ただの冷やかしだと無視していたのに、商店街が冬じたくに入るころ、肩書は濃く、長く見えはじめる。  行列整理に駆り出されれば、肩書きは『交通指揮官』に変わり、失敗すれば『道に迷う地図士』。ネットの噂を信じた宏哲が“消泡剤”と称する自作薬で路地を泡まみれにすれば、みんなの肩書も一斉に狂騒へ。寒波と停電の夜には、頼りない灯りの下で「臨時団長」を自称する誰かが、湯気の立つポットを守る。  心音の隣には、まず動いてから考える律人。会議では唐突に『王都騎士学園、開校!』と言い出して、子どもたちの胸を躍らせる。肩書は冗談みたいに増えたり剥がれたりするけれど、誰かが誰かのために手を伸ばした瞬間だけ、本物の輝きを帯びる。  泡、停電、こたつ城。都市の端っこで起きる小さな“魔法”を、笑って、すこし胸を熱くしながら駆け抜ける現代ファンタジー。

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エブリスタ
エブリスタ2025/09/14
  • 現在の作品商店街には魔法がある(たぶん)—鑑定眼で肩書が増える季節