あらすじ
断罪の舞踏会で婚約破棄を言い渡された令嬢――泣き崩れるどころか、なぜか王子、辺境伯、そして獣人王の三人が壇上でコサックダンスを踊り出す。観衆は混乱し、本人は完全に蚊帳の外。ところがその奇行は「求婚の儀式」へと発展し、国中を巻き込んだダンスブームに燃え広がっていく。
王子は誠意あるやり直しを誓い、辺境伯は実直に支える生活力を示し、獣人王は野性と土の豊かさで未来を語る。三者三様の求婚合戦は、舞踏から料理、手紙、庭づくりにまで広がり、王都の人々もまた笑いと健康を求めて膝を曲げ始める。
やがて令嬢は、自分の意思で「誰も選ばない」決断を下す。踊らないと決めた彼女は、日々を生きる人々とともに小さな店「膝休め」を開き、静かな祝祭をつくりあげていく。王都に広がるのは、恋の勝者ではなく「休む踊り」を分かち合う文化。
愛され、求められ、それでも自分で歩む道を選んだ一人の令嬢と、彼女を取り巻く三人の男たちの物語は、今日も軽やかな膝のリズムと共に続いていく――。