あらすじ
理不尽な婚約破棄を突きつけられた伯爵令嬢アリアは、「もう好きに生きてやる!」と王都を飛び出し、辺境の小さな小屋でスローライフを始める決意をする。畑を耕し、山羊と向き合い、静かな日々を夢見て――ところが、初日の夜から不審な「ピンポンダッシュ」が始まった。真鍮のベルが鳴らされては誰もいない。
正体を突き止めようと待ち受けたアリアが見たのは、逃げ足の速い黒外套の男。その正体はなんと、冷徹と噂される辺境伯エルンストだった。彼は「君の安否を確かめるため」と言い訳するが、毎晩ベルを鳴らして逃げる不器用な行動にアリアは呆れ果てる。
しかし、彼は野菜や保存食を差し入れたり、畑仕事を手伝ったり、魔獣から命懸けで彼女を守ったりと、次第に彼女の生活に深く入り込んでいく。村人たちからも「お似合いだ」と囁かれるようになり、アリアの心は「平穏なスローライフ」と「胸を高鳴らせる日々」の間で揺れていった。
そして真夜中、彼はついに「君に会いたかった」と告げるが、最後の一言は臆病さから飲み込んでしまう。そんな中、巨大な魔獣が村を襲い、小屋も危機に晒される。アリアとエルンストは共に立ち向かい、死闘の末に撃退。彼が「毎晩君を守るために来ていた」と真実を明かすと、アリアはその想いを受け入れ、「隣で生きたい」と答える。
――こうして「スローライフ」は崩れ去ったが、不器用な辺境伯様と共に歩む、もっと賑やかで幸せな暮らしが始まるのだった。