あらすじ
このエッセイを書くことを、私はずっと迷っていました。
綺麗な記憶として胸にしまっておくべきなのか。
それとも、拙いながらも、社会に小さな石を投げるべきなのか——。
義母の最期を見届けたあの日、私たち家族が感じた温もりと、同時に突きつけられた医療と介護の現実。
その両方を、どうしても記録として残しておきたかったのです。
だから私は、決意しました。
この「さくらの森 No.2」を書くことに。
綺麗ごとだけでは終われない。
でも、確かにそこにあった優しさと祈りを、言葉にしたかったのです。
前作の「さくらの森No.1」はこちらです。https://kakuyomu.jp/works/16818792440280677375/episodes/16818792440280718733
(登場人物紹介)
明石施設長(仮名)/30代男性
サービス付き高齢者住宅「さくらの森」の施設長。穏やかで誠実な人柄。入居者一人ひとりに寄り添う姿勢がスタッフにも信頼されている。
中島介護士(仮名)/30代男性
介護の現場で明石施設長と共に働く。物腰柔らかく、入居者の心に寄り添うケアを大切にしている。
義母
主人公の妻の母。晩年を「さくらの森」で過ごす。家族や愛犬に深い愛情を注ぎ、穏やかな笑顔が印象的な女性。
主人公(語り手)
義母の娘婿。義母の最期を見届けた一人。介護施設のスタッフへの感謝と、家族の思い出を胸に物語を綴る。義母の死をきっかけに、介護施設の調理パートとして働くようになる。
(あらすじ)
義母が晩年を過ごしたサービス付き高齢者住宅「さくらの森」。
穏やかな日々の中、施設長の明石さんと介護士の中島さんの温かなケアが、義母の心を支えていた。この施設の母体の経営は患者の少ない内科医院だった。その院長は内科医院の経営が良くないため、この介護施設を作った。それゆえ無駄な医療行為を行うことで有名だった。
そんな事から延命治療をめぐる葛藤があった。義母自身が望まない医療行為が続けられ、家族は苦しみながらも声を上げる。
現場の職員たちは義母の痛みに寄り添いながらも、経営者である院長には逆らえない——その沈黙のジレンマ。
やがて義母は、愛犬との思い出に包まれながら静かに旅立つ。
その最期の笑顔を胸に、主人公は命に寄り添う仕事を選ぶ。
調理場から見える命の営み——それは、静かで、尊く、そして力強い。