あらすじ
王国の辺境、周囲を険しい山に囲まれた小さい町がひとつあるだけのシンケー領では、春先に『天秤祭り』という豊穣祈願の祭りが開催される
メインイベント『天秤の儀』は王都でも有名な観光名物となっている
この地には独自の風土現象があり、農作物の豊作『表の年』と凶作『裏の年』が必ず毎年交互におとずれる
領民は『表の年』の収入で2年間生活することを余儀なくされ、保存食にむかない青果類が枯渇する『裏の年』は他領からの高額な輸入品に依存している
『裏の年』の祭りは最低限の予算で運営され『天秤の儀』勇者と聖女に至っては領法で定めた最低賃金で雇われている
いよいよ、年明け、全ての領民に祭りのお知らせが回覧された
【嘱託職員】採用結果のお知らせ
〜『天秤の儀』〜
勇者:グルコ(25歳)
ポーション管理人兼配達員
聖女:サミン(15歳)
冒険者ギルドパート清掃員
二人とも豊穣のイメージとは真逆の細身だったが他のバイトが繁忙期で、祭りのために身体を鍛えたり増量する時間が持てず慌ただしく当日を迎えてしまう
こんなんじゃ盛り上がらないだろうなぁとやる気がおきなかったが⋯
「ひっこぬくのよ!」
「ひっこぬけぇー!」
「がんばれぇーーー!」
「ひっこぬいちゃってぇーーー!」
なぜか
裏の年の祭りとは思えないほどに
『天秤の儀』が盛り上がってしまうのだった