あらすじ
私は骨壺と旅をしている。
自転車かごの中に納まる白く目の詰まった布。ざらざらした布を触れば、向こう側に筒状のものがあることがわかる。その正体は骨壺で、更にその骨壺の中には私の大切だった人の骨が入っている。
本来、仏壇でも、墓でも飾っておいて、たまに故人を惜しむために使われるもの。それがなぜ自転車のかごの中に納まり、移動しているのか。
簡単だ。私がさっき盗んだ。
私の大切な、大切な友達の骨。あんなに傍に、ずっといたかった彼女。
その骨は彼女の実家に置かれていた。確か仏間であった場所。倒れた柱の陰に隠れるように、そこにいた。
私は最初、彼女の骨壺を盗みに彼女の実家に来たわけじゃなかったが、柱を盾に私から逃げるようなしぐさを見て、死んでも彼女らしいと思ってしまった。
だから盗んだ。