あらすじ
大阪の下町に生まれた景司と美知子は、若さの勢いに任せて「ブイブイ」「イケイケ」と街を駆け回る日々を送っていた。喧嘩に明け暮れ、虚勢を張る二人の青春は、一見すれば荒々しく無軌道であった。だがやがて、彼らは人を傷つけることよりも、人を笑わせることのほうが心を震わせると気づく。戎橋のたもとで三味線を鳴らし、踊りを添えて街ゆく人々を笑わせるうちに、孤独や悲しみを抱えた若者たちが少しずつ集い、そこには小さな灯火がともるようになった。
しかしその笑いの灯りは、古株の不良や芸人たちの妬みを買い、幾度も脅かされる。さらに美知子の家を借金取り立ての影が覆い、二人は試練に追い込まれる。喧嘩で解決することもできたが、美知子の言葉に導かれ、景司は拳を下ろし、笑いを武器に挑む決意を固める。やがて寄席の舞台に立ち、冷笑を浴びながらも魂の芸で観客を笑わせることに成功する。少しずつ家の借金も返し、街に希望を撒き散らす二人の姿は、もはや不良でも余興でもなく「浪花の若き芸人」と呼ばれるようになった。
笑いは炎である、人を焼き尽くすのではなく、人をあたためる炎。景司と美知子はその炎を胸に、逆境を越えて青春を駆け抜けた。