あらすじ
キースティン・ハロルド・ビルラードは、大陸の西方にあるナムラ砂漠のオアシス生まれだった。
祖母の故郷であるビルラード王国では、父の伯父であるラルフォン王が年を取って退位することになったが、彼には跡取りとなる子供に恵まれていなかった。ラルフォンには、二人の妹がいたが、一人は、騎士と駆け落ちして遠い砂漠のオアシスにいることが分かったのだ。三年前に魔法使いの手で捜し出されて、キースの父のウィルレードは、連れ戻されてビルラード王国の王位につくことになった。同時に長男のキースも一夜にして世継ぎの王子となってしまったのだ。
ラルフォンの影からの手伝い、宰相、ガーランドや魔法使いのマリリルの手ほどきで、ビルラードは混乱に陥ることなく、ウィルレードは王として国民に迎えられた。
そして三年、キースも21歳になり来年には何処かの姫と結婚して、国民の前の登場することが決められていた。それが嫌で嫌で堪らないキースだった。
キースは、女には興味が無いのだ。
それ以上にキースには悩みがあった。顔は、満足していた。東方に下りし美姫で有名なビルラードの王女だったという祖母に似て、美形だったのだ。
ところが、髪と瞳の色が平凡な茶色だった。三歳年下のガイザードは、母譲りにの顎割れの顔立ちなのに、綺麗な金髪と青い瞳をしていた。これが羨ましくて仕方ないキース。
その日も鏡を見つめて溜息を付いていた。そこに宰相のガーランドが見合いの肖像画を持って現れた。来年の今頃には、王都のブリスジンの神殿で結婚式を挙げて国民の前に王太子として顔を晒さなければならなかった。
ガーランドは、自分の娘の肖像画を持って来て言った。
「王子様のお気持ちは察していますぞ。取引をしませぬか? 我が娘を娶って下されば、王子様に四日間の自由な期間も与えましょう」
そうして、自由に街中に繰り出したキース。
浮かれて、昼間から酒場に入り浸っていた。ご同輩の匂いを嗅ぎつける奴らが誘ってきたが、蹴散らし続け、キースは理想の男が現われるのをひたすら待ち続けた。
すっかり出来上がった頃に、酒場の扉が開いて、汚れた外套を着た男が入って来た。
男は、キースと同じ匂いがした。しかも、西方に下りたる女神かというほどの美形であった。
肩で切りそろえられた金色の髪、深い青い瞳はキースの理想の男だった。
この男と四日の休暇を過ごすことにしたキースはルンルンだった。
かたや、この男こと、オルランド・ベーカル(オーリ)は大変迷惑この上ない!!
彼はビルラード王国に隣接している聖地、銀の森の大神殿から逃げ出してきた神官だったのだ。
栄転で、光の神の本殿ともいえる光の神殿への行くことになっていた。だが、彼は大勢の中の一人が良くて、決して目立つことが大嫌いであった彼にとって、神官は神に奉仕する者であって出世などどうでも良かったのだ。
酒場でキースがオーリを口説いていると、ガラの悪い男が入って来た。その男はキースとオーリを見ると二人を安宿に連れて行こうとする。
他の客から、耳打ちされたキースは逆上して乱闘騒ぎを起こしてしまう……