あらすじ
光琴は幼い頃、自動車事故で両親を失った。父親の過失から生じたその事故は、もう一つの家族も崩壊させる。
東雲凛。笑顔を忘れた女の子。両親を殺された彼女は、重い記憶障害を発症。幸せな出来事を記憶出来なくなる。
これはそんな二人の邂逅と、凛が笑顔を取り戻すまでの軌跡を描いた物語。
高二の春、光琴は転校先で一人の少女・凛と出会う。
誰とも話をしない凛。けれど、山中で遭難した光琴を凛が助けたことで、二人の運命は交錯を始める。
凛は語る。
記憶障害のせいで多くの人を傷つけてきたこと。だからもう、誰とも関わる気がないこと。
そんな凛に光琴が示したのは『人を傷つけず、幸福をプレゼント出来る未来』だった。その未知なる風景に、凛の心は大きく揺れ動く。
こうして――不器用な二人の学校生活が始まった。
天文部への入部、更には文化祭を経て、二人の距離は次第に縮まっていく。そして文化祭最終日、遂に二人は恋人同士になるが……待っていたのは、幸せな記憶の忘却。
光琴との一切を忘れた凛は日記で彼との日々を知るが、他人としか思えない過去の自分に嫉妬し、自分に嫉妬し続ける未来に絶望して、光琴を拒絶する道を選ぶ。
だが光琴は諦めなかった。そんな凛を優しく抱きしめ、耳元で囁く。
「昨日の自分に嫉妬するなら、明日の自分に幸福のバトンを繋げば良い」
未来を諦めない光琴に、凛はそれ以上抗えない。しかし……
その直後、凛は事故の真相を知る。
だがもう手遅れだった。凛は、自分を受け容れてくれた光琴への想いを断ち切れず、けれど、そんな自信を許すことも出来ない。だから……
山中で一人、死を選ぶ。
そんな凛を光琴は見つけるが説得出来ず。凛は落雷で仮死状態になり……
その時、死んだ両親が目の前に現れた。娘の幸福を願う彼らの祈りは凛の罪悪感を氷解させ、凛を幸せにしたいと願う光琴の想いが、凛の顔に笑顔を運ぶ。そして――
一カ月後、病院。
無事に退院した凛は、迎えに来た光琴の胸に飛び込んだ。その笑顔を美しく輝かせながら。