あらすじ
「彼女は1年半前に離婚していますよ。」
区役所の職員の言葉に、彼女の弟である羽瀬悠人は言葉を失った。
・・・
その姉弟に、生物学的な血の繋がりはない。
けれども、物心がついたころから同じ家に住んでいて、同じ名字を使っていることは紛れもない事実だ。
悠人はずっと問い続けてきた。
「姉弟愛って、どんな愛?」
———誰かに"普通の姉弟"を教えてほしかった。
「なんで結婚なんてすんの?」
悠人のその質問に、姉の羽瀬玲衣は苦しそうに笑って答える。
「タイミング……かな?」
そんな曖昧な言葉で、すべてを手放した玲衣を、悠人はどうしても許せなかった。
もし奪い去ることができたら……けれど彼は"玲衣の弟"だ。
「そんなこと……できないよ。」
だから5年前、玲衣の結婚とともに、20年近く大切に積み重ねてきた自分の気持ちに蓋をした———はずだった。
それなのに、なぜ家族にも黙って離婚をしたのか。
今、玲衣はどこで、何をしているのか。
答えを知るはずの彼女は、どこにもいない。
誰一人、玲衣の居場所を知る人はいないのだ。
忽然と姿を消した姉の行方を追うため、悠人は二人の記憶を辿りながら、過去の痕跡を追っていく。
もう一度、会えるなら———今度こそは二度と離さない。
「この恋を諦めなくちゃいけない理由なんて、最初からどこにもないよ。」
果たして、悠人はこの恋を叶えることができるのか。
禁じられた想いは、終わったはずの恋の、その先へと導かれてゆく。