あらすじ
コンビニバイトの帰り、俺こと佐藤優(さとう ゆう)は、気づけば鬱蒼とした森の中にいた。いわゆる異世界転移というやつらしい。
右も左もわからぬまま巨大な狼に襲われ、なすすべなく死を覚悟した瞬間――一陣の風が吹いた。
風? いや、違う。
月の光を反射する銀色の閃光。気づけば、俺を取り囲んでいたモンスターが音もなく崩れ落ちていた。
月光の下に立つ、息をのむほど美しい銀髪の女性剣士。だが、その瞳は凍てつく冬の湖のように冷たく、鋭い殺気を放っていた。
彼女は俺を一瞥すると、「まだ、みたいね」と謎の言葉だけを残し、再び風のように去っていく 。
彼女こそ、ギルドで『疾風』と噂される謎の最強剣士 。なぜか俺がピンチに陥るたびに現れては、圧倒的な力で救ってくれる。だが、彼女は決して素性を明かさず、その瞳はいつも深い悲しみを湛えていた。
元の世界に戻るため、俺は魔法の勉強を始める。すると、この世界の魔法が現代のプログラミングに酷似していることに気づいた 。「転移魔法を攻撃に使えば最強じゃね?」なんてぶっ飛んだ発想が、クールな魔導士リリアナの度肝を抜いたりもする 。
やがて俺の周りには、脳筋騎士、やらかし魔法戦士、おっとり神官、詠唱長すぎ魔法使いといった、腕は一流だが致命的にどこか抜けている『デコボコパーティー』の面々が集まってきた 。彼らは非合理かもしれないが、誰よりも優しく、温かい。俺は、この世界で初めての「居場所」を見つけていた。
しかし、平穏な日々は突如として終わりを告げる。異国の黒船がもたらす巨大な陰謀 。絶体絶命の俺と仲間たちの前に、またしても『疾風』が舞い降りる。
「間に合って、良かった 」
初めて聞く、焦りの滲む彼女の声。なぜ君は、そこまで俺を――?
全ての謎は、大陸の西の果てにそびえる『魔女の塔』へと繋がっていた。
これは、未来を知る俺だけが、彼女を孤独な宿命から救い出す物語。
塔の最上階で明かされる衝撃の真実。俺は、全ての始まりの『過去』へと飛ばされる。
そこは、まだ氷の仮面を被る前の、花を愛でる無垢な少女の君が、ただ一人の救世主(おれ)を待っている世界だった 。
壮大な時間と因果が交差する円環ファンタジー。ドタバタと笑い、仲間との絆に泣き、そして、たった二言の約束のために、少年は英雄になる。