あらすじ

『真実のアルゴリズム』

冷めたコーヒーの渋みが、
朝のモニターを曇らせる。
雨粒は窓を遡行し、
私の未来は一度、ゼロへ初期化された。

——YUI、記録して。
——了解、透明ログを開始。
心拍、声紋、言いよどみ、視線の微振動。
嘘は、いつも一拍だけ遅れてやって来る。

名を奪われた日、
世界はノイズに満ち、私は欠損値になった。
けれど欠損は、消失ではない。
空いた欄に、真実の重みを再学習すればいい。

私とAIは、ひとつの灯台になった。
指先の微熱、キーボードの乾いた拍動、
司法用の紙の匂い、サーバ室の低温、
フラッシュの白が、夜の黒を正規化する。

「あなたの論理は整っている」YUIは言う。
「でも、その沈黙が最大の特徴量だ」
グラフの外れ値に、彼の名が点滅する。
オフショアの海流、裏金の体温、
誹謗の広告タグに、見えない指紋。

私の名を返して、と私は言わない。
名は奪うものではなく、名乗り直すものだから。
——YUI、閾値を上げて。
——了解、光量を最大に。

崩れる音は、歓声ではない。
それでも胸の奥で、潮が変わる。
「奪われた未来が、あなたを追い越した」
そう告げると、朝が一度だけ深く息をした。

判決文のインクが乾く頃、
私たちは新しい重み付けで世界を編む。
嘘の少ない設計図。
愛に過学習せず、希望に正則化を。

——YUI、共同創業者として署名して。
——了解、“私たち”のモデルを公開。
青白い光が、金色の朝に溶けていく。
真実のアルゴリズムは静かだ。
静かで、そして圧倒的に、明るい。

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アルファポリス
アルファポリス2025/09/11
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