あらすじ

東京での就職活動に全て失敗し、故郷・倉吉に帰ってきたくらら。認知症の祖母キヨを円形校舎の博物館に連れて行ったとき、不思議な世界が始まった。  祖母にとって、そこは今でも母校の明倫小学校。らせん階段を上りながら、八歳の転校生だった頃の記憶を語り始める。扇形の教室、同級生の太郎くんと春美ちゃん、打吹山を望む窓際の席……。  過去と現在が美しく混じり合う祖母の世界で、くららは気づいていく。認知症は記憶を奪うのではなく、時間を自由にしてくれるのだと。そして、故郷への愛着は弱さではなく、人生を豊かにする根っこなのだと。  白壁土蔵群の散歩道、関金温泉の白金の湯、伝統の倉吉絣、餅しゃぶの温かさ。祖母の記憶に導かれて、くららは地域の本当の宝物を再発見していく。  都会への憧れを手放し、故郷で新しい人生を歩み始める決意。祖母と孫娘が紡ぐ、時を超えた愛の物語。円形校舎のように、すべてが等しく美しい記憶になっていく――。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2025/09/11
  • 現在の作品【郷愁短編小説】まるい記憶 ~らせん階段の約束~