あらすじ
空に浮かぶ島々、そしてその果てに閉じ込めるかのように広がる巨大な壁雲——人類が空に進出してから数百年、誰もその向こうを知らない。
浮遊石によって空を飛ぶ技術を得た人類は、空島に文明を築き、飛行船やスカイボートで空を行き交う。しかし、鳥がなぜ飛べるのかは未だ解明されていない。航空力学のない世界で、空を飛ぶことは“鉱物の力”に依存していた。
メリッサ・ハインケルは、空の旅人を目指す航空学生。破天荒な行動とは裏腹に成績は優秀で、飛行船免許取得を目前に控えていた。彼女の夢はただ一つ——壁雲の向こう側に行くこと。
そんなある日、彼女の島に不時着した一人の青年。名をラギと名乗る彼は、奇妙な言葉を使い、鳥と同じ原理で空を飛ぶ“翼のある航空機”の存在を語る。彼の知識は、メリッサが長年探し求めていた“空を飛ぶ真理”そのものだった。
空賊の脅威、浮遊石の限界、そして戦争の記憶を背負ったラギの過去——
空の果てにある“未知”を前に、メリッサは問い続ける。空とは何か。飛ぶとは何か。人はなぜ空を目指すのか。
これは、空を越えようとする者たちの物語。
科学と信仰、戦争と平和、そして夢と現実が交差する、空の叙事詩。