あらすじ
都会の暮らしに疲れ、心に居場所を失った主人公は、祖母が暮らしていた田舎の古い家へと戻ってきた。
埃をかぶった部屋の片隅で見つけたのは、桜模様の小さなオルゴール。
ネジを巻いた瞬間、優しい旋律とともに、忘れていた記憶が胸の奥に広がっていく。
──春の縁側で、祖母に髪を結んでもらったあの日の記憶。
そして夢の中で告げられた、祖母の言葉。
「春を忘れた子が、まだ起きていないの……」
音に導かれるように始まる、失くした季節を探す物語。
それは、かつての自分と出会い直すための、静かな旅路だった。