あらすじ
僕はアイン。才能を活かしてパーティー「暁の翼」の戦力を最大化させる、極めて合理的な冒険者だ。
魔力伝導率の落ちた杖を改良したり、聖性の研究のために下着をお借りしたり、すべては僕たちの利益のためだった。
しかし、仲間たちは僕の善意を理解せず、感情的な理由で僕を追放した。彼らは僕の貴重な研究資料を燃やし、僕をダンジョンに置き去りにし、あまつさえ僕に呪いまでかけた。
彼らは、自分たちの非を認めず、僕という「正論」から逃げたんだ。
追放を言い渡された僕は、最後に彼らに公平な「精算」を施す。
俺はケイン。仲間を信じ、剣を振るう、パーティ「暁の翼」のリーダーだ。
二年間、家族のように過ごしてきた仲間がいた。
アイン。彼の持つスキルは、確かに俺たちの助けとなった。
だが、彼の言動は、日に日に常軌を逸していった。
人の心を理解しようとせず、リリアが師匠から受け継いだ、命よりも大事な杖を「合理的」だとへし折った。
セレスの聖女としての尊厳を踏みにじり、彼女の下着を「研究」と称して盗んだ。
彼の言う「善意」は、俺たちにとっては、理解不能な恐怖そのものだった。
俺たちの些細な過失や、彼自身の不注意が招いた事故を、彼は全て「意図的な加害」だと決めつけた。
俺たちがどれだけ対話しようとしても、彼の完璧な「正論」の前では、全ての言葉が無意味に砕け散る。
もう、彼と共にいることはできない。
それは逃げじゃない。俺たちの心と、パーティそのものを守るための、血を吐くような、苦渋の決断だった。
だが、俺たちは甘かった。
追放を言い渡した俺たちに、彼は、悪魔のような笑みを浮かべて、こう言った。
「公平な『精算』を施す」と。
それは、精算などではなかった。
俺たちの未来を、魂を、仲間との絆を、根こそぎ奪い去る、あまりにも一方的で、悪意に満ちた呪いだった。