あらすじ
現代日本。人々が日常に埋もれているその裏で、世界は「青い光」と「赤い影」の二つの未来に引き裂かれようとしていた。
独立系ジャーナリストの中尾広務は、配信番組で問いかける――「明るい話と暗い話、どちらから聞きたいか?」。
明るい話は、死者すら蘇らせる可能性を持つ新技術「メゾベッド」の登場。不老長寿の夢が、9月20日の公開シンポジウムで示されようとしていた。
暗い話は、アフリカで再燃する致死率90%の感染症「カルマ熱」。その感染力は新型コロナの200倍を超え、日本人を狙った“兵器”として拡散している可能性がある。
中尾は調査の果てに、国際的陰謀組織と政治家の密約を突き止める。人口削減計画、歪められた放送、既定値で縛られる同意書――。
だが同時に、現場で一人ひとりが「迷う権利」を行使する姿にも出会う。質問を入口で投げかける人、同意書に自分の言葉を書き足す人、そして「今日はやめる」と選ぶ人。
9月20日、メゾベッドの公開とワクチン接種開始が重なる日。
人々は「設計された選択」の中で何を選び取るのか。
そして中尾は、灯りのように小さくとも確かな抵抗の狼煙を残そうとする。
「自由はゼロか一じゃない。幅だ。窓だ」――
青い光と赤い影が交錯する夜、私たちの未来はひとつの選択によって揺らぎ始める。