あらすじ
王都の舞踏会――煌びやかな光と笑い声に包まれた夜会の只中で、私は冷たく突き放された。
「……アリシア、お前との婚約はここで解消させてもらう」
婚約者である王太子エドワード殿下の声音は、よそ行きの笑みを貼りつけながらも冷酷で、会場に響き渡るほどはっきりとしていた。
目の前で殿下は、私の従妹であるルチアに手を差し伸べ、堂々と宣言した。
「真に愛しているのは彼女だ。お前のように地味で何の取り柄もない令嬢よりも、ずっと相応しい」
会場がざわめく。私は一瞬、心臓を握りつぶされたような衝撃に息を詰まらせたが……すぐに、冷たい諦めの笑みを浮かべた。
「――承知いたしました」