あらすじ
戦で死んだ者の“記録(巻)”を収蔵する屍書館。
新米司書の綴(とじ)は、相棒の歌い手イレーネと共に、低い歌で記録を短く“再演”して傷や嘘の手順を可視化する――だが歌は必ず代償を払わせる。
王都で「返却不能」による追想災害が起き、やがて王妃の巻から二行が消えていることが発覚。綴は返却=重さを持ち主へ戻す手順だと定義し、監察官グレイ、王女アメリアと共に、黒市・工房・近衛が絡む偽史の段取りを暴いていく。
鍵は三つ――
① 御前の前置きが延長されると護符が乱れる波形。
② 月刃の研ぎ癖(刃腹二連)が残す温度。
③ 骨鈴が示す半拍の踏み替え。
綴は「読む」のではなく「見せる」ことで街を動かす。原本には触れず、函に**“二行の座”を縫い付け、返却輪で命令の重さを主へ戻す。甘味(花)を抜かれた印、欠測を札で可視化する手続き……全ては法に変換できる物証**だ。
「命令は返った。骨はまだ返らない。」
墓地下水から東門へ――属骨印の黒糸が“面”で迫るなか、綴は寿命を削る覚悟で次の返却へ向かう。
手順で戦うダーク・ファンタジー×手続きスリラー。
派手な魔法はない。あるのは歌、札、針、そして記録の順番。