あらすじ

酒楼の小僮・陸昭が東家のために夜を守ったあの晩、 彼は生涯忘れ得ぬ光景を目にした。 青衣の剣客、七尺の青鋒。血錆に覆われた鎖が刃を締め付け、 覆面の盗賊は猩紅の丹丸を呑み込み、皮膚の下を丹虫が蠢く。 争奪の錦盒に潜んでいたのは、脈打つ「人血丹」。 やがて四大聖地が次々に腐敗の牙を剥いたとき、 陸昭は悟る―― 斬り払えぬ血錆、燃え尽きぬ貪火、満たされぬ丹鼎。 それらはすべて、衆生の魔が生み出す幻影にすぎぬのだと。 紅雲寺の丹炉には長生を求める愚民が煮え、 書斎の星辰塔には人の眼を抉る「全知の繭」が吊るされ、 神国の玉座には子を喰らう丹蛻の皇帝が座す。 そして道境・北冥の淵底からは、妹が口ずさんだ童謡が響いていた。 聖地の虚妄の面を踏み砕いたとき、 陸昭の剣に映し出されたのは―― 人間の貪欲、その倒影であった。

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カクヨム
カクヨム2025/09/09
  • 現在の作品我が剣、北へ