あらすじ
『蓬莱私記』を巡る事件から数ヶ月、古書研究者の久遠靜とジャーナリストの朱鷺坂響に、ようやく平穏な日常が戻っていた。だが、その静寂は、新たな依頼によって破られる。
舞台は、再開発の波から取り残された東京の片隅、汐留地区。そこでは「神隠し」と呼ばれる不可解な連続失踪事件が頻発していた。警察も匙を投げたこの事件の唯一の手がかりは、現場に残されたという不気味な「声なき童歌」の旋律のみ。
デジタル情報が一切通用しない閉鎖的な街で、響のOSINTは無力化する。文字記録のない「伝承」を前に、靜の完全記憶能力もまた、新たな試練に直面する。よそ者を拒絶し、過去を語ることを固く禁じた住民たちの「沈黙」という巨大な壁。二人は、この街全体が守り続ける暗い秘密に、どう立ち向かうのか。
忘れられた記憶、意図された忘却、そして歌だけが知る真実。
書架に眠る知識とデジタルの光が届かない場所で、二人の絆が再び試される。『久遠の書架』シリーズ、第二幕。