あらすじ
ナルスタス王国の宮廷魔術師レオニー・ダルトンと共に暮らすアナイス・ボーン14才。二人の年の差は16才で、その関係は父娘(おやこ)のような師匠と弟子である。
アナイスは、周囲の大人に放置されて育ったコミュ症で社会性のない身なりに無頓着な女子だが、魔法陣を描くことが大好きで、その才能に着目したレオニーに引き取られた。
そんなアナイスのガチ父親化しているレオニーは、彼女を社会に順応させ、お子様受けNo.1の騎士様オーギュストに嫁がせようと日々、暗躍している。オーギュスト本人も、恋心はないもののアナイスの相手をすることは厭わない。
そんなある日、国の第一王子ロレンツィオが、在籍する芸術学院で全校生徒の前で婚約破棄宣言をし、国王夫妻を激怒させ厳しく叱りつけられる。自尊心を打ち砕かれた王子は、王族を抜けバイオリニストになりたいと言いだし、それを認める条件として、①魔物討伐隊の演習について未開の森へ行き、ゆらぎに弱いとされる魔物の前でビブラートを効かせたバイオリン演奏をし、眠らせること、②その後、森の西方に住む賢者のところへ行って腕前を披露し、合格判定をもらうこと、の二つが提示された。そのバイオリンの腕試しとも言える王子の旅の同行者に、アナイスが選ばれてしまう。理由は、コミュ症故に、彼が本音を吐露しそうだから。
勝手な選抜に反発するレオニーだが、アナイスを妹分として上手く操る第二王子ベルナンドも同行するとあって思い直し、レオニー特製の装備(魔法を仕込んだ杖と様々な仕掛けがある衣装)をもたせて送り出す。だが、それらが上手く作動しない。原因は、魔法騎士を長く務め、バイオリンの腕前も確かな賢者だった。
事前の根回しがあり、そう危険ではないはずだった討伐の旅は、その「待て」ができない賢者が勝手に動くため、アナイスたちに襲いかかった魔物をロレンツィオ王子がバイオリンでたたきのめすなどの予想外の展開となる。結果、バイオリンはバキバキに壊れ、王子はリタイア宣言をすることに。そんな彼の前に賢者が引きずり出され、判定を告げた……。