あらすじ

【BLファンタジー】  海と森に囲まれた小国・伊国に生まれた少年、真魚は「聴の才」と呼ばれる特殊な能力を持つ存在だった。人々の声や風の音を聞き分けるその力は、航海術や情報伝達に不可欠であり、養父である双子の兄弟、櫂と汀操に教え込まれたものだ。だが真魚は男子でありながら、子を孕む可能性を秘めた「半陽」という身体を持ち、そのため周囲から奇異の目を向けられ、孤独な日々を送ってきた。彼を支えてきたのは、幼少時から寄り添ってきた異国の青年シムランだった。  18歳を迎える前、楊国の都から急な召命が下る。女帝の治世は終わりに近く、世継ぎである皇太子・烈を支える「伝奏」として真魚が選ばれたのだ。旅立ちの前夜、真魚とシムランは互いの絆を確かめ合うが、別れは避けられない。真魚は叔父・汀操に伴われ、都へ向かう。  都で待っていたのは、威厳に満ちた女帝と、精悍な皇太子・烈、そして彼を支える武官・柳可と文官・桂子であった。烈は「この国のために仕えよ」と告げ、真魚は彼のもとで新たな道を歩み始める。  烈の下で日々を重ねるうち、真魚は都の人々の多様な姿に触れ、自らの孤独が少しずつ溶けていくのを感じる。だが心の奥底には、故郷に残したシムランの存在が強く息づいていた。彼の奏でる歯琴の音色は、遠く離れていても真魚の胸を震わせ続ける。  やがて女帝が崩御し、烈が新たな王となるか否か、国の行方は大きな岐路に立たされる。真魚は自らの運命と向き合い、烈とシムランの間で揺れながらも、「伊国」と「楊国」を守り、「己の存在」の意味を探し始める。出会い、裏切り、戦い、そして邂逅、全てが真魚を翻弄し、育む。  本作は、真魚とシムランの愛を軸に「失われてもなお続いていく愛」の形を描き出す。刳舟「カルノ」が象徴するのは、「変わり続ける事の大切さ、難しさ」そして「変わらぬ事への憧憬」である。  日本書紀、古事記にある枯野伝説に着想を得ている。

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カクヨム
カクヨム2025/09/08
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