あらすじ

下町の小さな薬屋の娘、茜(あかね)は、幼い頃から異常な嗅覚を持ち、匂いの記憶を断片的にたどることができる。日々の客の咳や体調、悩みの種まで、匂いだけで判断し、処方を重ねていた。 ある日、宮中から小さな薬草箱の鑑定を依頼され、初めて宮廷の奥深くへ足を踏み入れる。だがその矢先、若い女官が急死する——表向きは急性疾患だが、茜の鼻は「誰かの手が加えられた痕跡」を嗅ぎ取る。薬は嘘をつかない、だから匂いは語るのだ。 匂いをたどるうちに、稀少な薬草と微量の合成毒が混ざっていたことを突き止める。それは皇太子・景(けい)の側近が探す極秘の薬草だった。茜は師匠の紹介で宮中に留まり、表向きは薬師として働きながら、裏では死の真相と宮廷の秘密を追うことに。 無口で理知的な皇太子・景と距離を取りつつも、匂いを頼りに真実を探る茜。第一巻では宮廷の密売ルートと「記憶香」の乱用を暴き、事件を解決する。しかし、その背後には、皇太子の家に関わる古い秘密と、匂いだけでは解けない“人の心の匂い”が待ち受けていた。

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小説を読もう2025/09/08
  • 現在の作品宮中薬師の匂い譚 —嗅ぎ分ける真実と薬の秘密—