あらすじ
ぬるい闇、湿った壁。
与えられる餌だけがすべてだった世界。
少女のような“お嬢”は、狭い箱の中でただ生きていた。
それが「普通」で、「当たり前」だった――あの日までは。
ある日、箱の外から響いた“音”が、彼女の世界を割った。
蓋の隙間から外へ出た彼女が見たのは、自分と同じように、
与えられ、閉じ込められた存在たち。
やがて出会う、もうひとりの「同じもの」。
二人は手を取り合い、ただの“存在”から“旅人”へと変わっていく。
そこに意味はなかったかもしれない。
でも、手を取り合い、自らの意志で進む道の果てにだけ――
風があり、草があり、空があった。
これは、世界を知らなかった者たちが、
世界を“選ぶ”ために、爪を削って壁を掘り進める話。
『笑い声は空に溶けた』
自分の人生を生きることは、痛くて、でも美しい。