あらすじ
SNSフォロワー数100万人を超える女子高生インフルエンサー、橘凛が忽然と姿を消します。彼女の最後の投稿は「行ってきます」の一言。はじめは話題作りのドッキリと思われましたが、数週間経っても戻りません。やがて、彼女のSNS投稿は消え始め、フォロワー数も減少し、最後にはアカウントそのものが消滅します。さらに恐ろしいことに、家族や親友の美月をはじめ、周囲の人々の記憶から彼女の存在が薄れていきます。しかし、美月の心には凛との思い出が鮮明に残っており、彼女は孤独な戦いを始めます。
夢の中で凛によく似た少女に「ありがとう、忘れないでくれて」と語りかけられた美月は、凛の存在を忘れていなかったことに気づき、彼女の痕跡を探し始めます。彼女は、久遠寺財閥の歴史を独自に調べていた久遠寺大樹と出会います。大樹は、歴史書にはないはずの「橘凛」という名前が、自身の曾祖父の書物にあることに気づいていました。そこには、久遠寺財閥の急成長を支えた謎の技術**『玉手箱』**の存在が示唆されていました。
大樹は、美月に代々伝わる古い手記を見せます。それは、大正時代に久遠寺凛を密着取材した女性記者、竹内菊子が書いたものでした。手記には、凛が未来から来たかのような先進的な思想を持つ女性であったこと、そして久遠寺財閥を救い、一人の男性と愛を育んだことが記されていました。凛は最期に、「ハートの形のほくろを持つ娘に『凛』と名付けてほしい」と願いを託します。
凛が自らの存在を歴史から消す代わりに、未来に希望を託していたことを知った美月と大樹。彼らは、古書から『玉手箱』の設計図の切れ端を発見し、凛が愛する人のために自らを犠牲にしたことを確信します。そして物語は、令和の時代に移ります。凛と同じく、うなじにハートのほくろを持つ少女が、先祖の凛から受け継いだ特別な「徴」を携え、新たな未来を生き始めるのです。
この物語は、過去に生きた女性の壮絶な愛の物語と、その意志を継ぎ、謎を解き明かす「時を継ぐ者」の新たな旅の序章となることを示唆しています。