あらすじ
この世界に、“勇者”と呼ばれる者はただ一人。
それは、神の祝福を受けた者でもなければ、特別な剣を手にした者でもない。
ただ一つ、魔王を倒した者だけがその名を手にする。
それ以外の者が名乗れば、それは詐欺師か、馬鹿。
実力のない者が魔王を討ちに出れば、それは自殺か、道中コント。
しかし、だからこそ。
だからこそ――夢を見る者たちが後を絶たない。
「魔王を倒して、俺も勇者に!」
「一発逆転してやる!人生終わりかけだし!」
「なんかウケそうじゃない?勇者って!」
名誉、富、地位、女、英雄譚。
人々が思い描く「勇者像」は、まばゆく輝いている。
だが、その実態は、ただの結果論。
魔王を倒した後にしか手に入らない称号。
つまり、倒せなきゃ意味がない。
だが、それを分かっていない男が、ここに一人――