あらすじ
クラルティ公爵家のエミリエンヌは、本棚から落ちてきた本が頭に直撃した時、前世の記憶を思い出した。
ここは友人がハマっていた「何がしか」という少女漫画の世界だということを。
タイトルが思い出せないのは、エミリエンヌがまるでその漫画に興味が無かったからである。
覚えているのは、その友人が「王太子ラブ! 王太子最高! 王太子愛してる!」と滅茶苦茶にラブコールをしていたことだけ。
後はうっすらと「第二王子って、不遇なんだよねーかわいそー」という適当な感想のみである。
そして、肝心の己が転生したエミリエンヌがどのポジションにいるかもまるで分からない。
つまり、何も覚えていないのと同じである。
「異世界転生なんていう漫画の様な出来事があっても、現実なんてしょせんそんなものですわね」
早々に見切りを付けたエミリエンヌは、その一週間後王太子主催のお茶会に参加することになる。
公爵家の長女であるエミリエンヌは婚約者候補の筆頭。
両親は「自由にしなよ」と意思を尊重してくれそうだが、周囲の令嬢からはライバル意識ぎらぎら。
面倒になったエミリエンヌは、ぽつんと人混みから外れた場所のテーブルに退避することにした。
そこで出会ったのは――。