あらすじ
全ての衆生には仏性があり、煩悩がそれを食い尽くしたとき、幽鬼は邪鬼になる。
老舗葬儀社・東御影屋に勤めるコボシとヒヒルは、崇高な経営理念と果てしない残業を抱えながら、口やかましい上司と注文の多いお客様の対応に日夜奔走する。
入社から早半年の二人は、営業、納棺、イベント、通夜、盂蘭に表に大活躍。固定残業時間を大幅にオーバーした頃、一件の邪鬼対応を振られた。
二人が二柱の幽鬼と出会うとき、彼女らは社会を覆う悲嘆と冷笑に立ち向かうことになる――。
――舞台の幕を下ろせないから、苦しいんです。一生の舞台は絶対にひとりじゃ終えられない。きちんと千秋楽を飾らせてあげれば、人も幽鬼も必ず成仏できる。お客様は舞台に立つ主演俳優であり脚本家であり、僕らはそれ以外の、監督やメイクを全てこなすんです。誰も不幸にしないために。
東御影屋操業一七〇年記念動画『環』より。
「ねぇヒヒル~。今月の残業時間、いくつ~?」
「三十四。そろそろ残業申請が通らなくなるなー」