あらすじ
村で幼い頃から一緒に過ごしてきたイッキとヴィヴィアン。
二人の住んでいるのは小さな村ということもあり近しい年齢の子供が他に追らず、二人は何をするにも一緒だった。
そんな二人の生活が大きく変わったのはヴィヴィアンが十八、イッキが十七の時だった。
夜唐突に家の前に呼び出されたイッキは、ヴィヴィアンへ視線を向ける。
「こんな夜にどうした?」イッキは困惑した様子だ。
「なぁイッキ」
「なに?」
「私さ、街に出て出稼ぎしようと思ってんだ」
「……出稼ぎ?ヴィヴィ姉が?」
「この村じゃまともに金も稼げねぇしさ。私は腕っぷしも強えし冒険者にでもなろうかと思ってて」
「……危ないだろ」
「お?心配してくれんのか?」
「……まぁそりゃ多少は」
ヴィヴィアンは笑みを浮かべると、つま先立ちになると自分よりも背の高いイッキの黒髪を乱暴に撫でる。
「っ、な、なにすんだよ!?」
その手から逃れるように、慌てて体をのけぞらせるイッキ。
「こんなにデカくなったのに心配性なのは変わんねぇな」
「いや心配性というかヴィヴィ姉放っておいたら、その辺の物拾い食いして腹壊してすぐに帰ってき──痛ぇ!!」
ヴィヴィアンに足をぐっと踏まれ、叫ぶイッキ。
「何時の話してんだ、本当に」
「あれまだ半年も経ってないでしょ」
「……とにかくだ、私はこの村を出る。
死ぬほど稼いだら戻ってくっから。私がいないからって泣くなよ?」
「泣くか、もう十七だぞ俺は」
──
そんな会話から一年後、イッキもヴィヴィアンを追うように、村を出て冒険者になった。
いくつかの初心者向けのクエストを済ませた新米冒険者のイッキの前に現れたのは、若くしてAランクに到達し同業から天才冒険者と呼ばれる、ヴィヴィアンだった。