あらすじ

百年寒波で都市がブラックアウト。自立型データセンターに十数名が籠城するなか、読者は冒頭で犯行を目撃する――設備担当・室田剛が電源の**〈準備窓20秒〉に合わせ、監視室のラッチを紙一枚ぶん押し込み“内側からの密室”を成立させる瞬間を。ダッシュボードはAIOpsにより“正常”へ整えられ、ログには同一時刻の二重行**。社内チャットには「エッホエッホ」の同秒連打、配線写真の承認タグ「ビジュいいじゃん」にはEXIFの時差が潜む。 三田村香織はあえて“知らないふり”で臨み、公開の手続きは必要最小限に絞ったまま、会話の矛盾と時間の綻びで相手を揺らす。左利きの圧痕の向き、CRACファン音が示す二十秒の谷、そして“押していない”と主張する言葉が自分の身体記憶を裏切る瞬間を、香織は最後の一手で突きつける。 “整った緑”の裏で整えられたのは、真実ではない。嘘が自ら語り出すまで待つ倒叙の心理戦。次に崩れるのは、あなたの“正常”だ。

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カクヨム
カクヨム2025/09/06
  • 現在の作品氷点ログの向こうで、三田村香織は嘘を待つ――倒叙・凍都データセンター事件