あらすじ
『自殺した』という前世の記憶のみを持つ青年アスは気が付けば、この荒廃した世界にいた。遥か昔《東京》と呼ばれたこの都市は、低地は海に呑まれ、高層ビルは崩落し苔むしている。人間たちは記憶を失くすほど実体がなくなってゆき、ついには消滅する。これは永劫の罰、新しい世界が創造されるまでの狭間の如き空間。海に呑まれかけた大地と大空の狭間を支えるように果てしなく巨大な塔が、そんな世界を睥睨していた。歴史の停止した、既に終わってしまった世界。他者と呼べる存在すらいないこの世界で、俺はなんのためにこの世界で生きているのか―—アスは自問していた。
ある時この世界の『案内人』を自称するリヴィアというアスにしか見えない存在から、アスはその塔に向かうように託宣を受ける。「君はあの『塔』に向かわなくてはならない』と。その塔には、世界の再創造の使命を帯びた『お嬢様』と呼ばれる存在がいて、君のような過去から送られてきた罪人は旧世界の感情や景色を彼女に教える使命がある、と。しかし、塔の門には『処刑人』が立ち、彼に斬られたものは奇妙なことに自ら水面に幾百も生えた剣をとり自殺し消滅してしまうのだった。あんな死に方は御免だと、塔に行きたがらないアス。リヴィアは彼を同じように塔に行きたがらないもう一人の罪人に会わせることにした。私たちは、終わってしまった世界で何の為に生きているのか。誰かと繋がりたいそんな願いを秘めた死にたがりの青年と、美しいものが見たい、そんな祈りを秘めた女性が出会う時、終わってしまっていた世界の物語が動き出す―—。これは、転生ではない、私たちの為の『再生』物語。