あらすじ
《それは、便座の上から始まった》
人生に「どこで間違えたのか」なんて問いは、意味がない。
気づけばそこにいる――ただ、それだけだ。
たとえば、トイレにいる時間が人より長かったから。
たとえば、読書の場所が“便座の上”だったから。
そんな理由で、神に選ばれることだってある。
俺の名は――いや、今はそれも意味がないかもしれない。
34歳、無職、趣味:読書。
この物語の始まりは、そんな俺が“実家の壊れたトイレ”に座っていた瞬間だった。
タンクに水がたまる、あの「ポコポコ」という音。
そして、あるページをめくったその“刹那”――レバーが、勝手に下がった。
流されたのは、水だけじゃなかった。
現実から、常識から、そして俺自身から――
俺はまるごと、異世界へ“流れ出して”しまったのだ。
そこは、魔法があり、神々が存在し、種族が入り乱れる世界。
そして、俺にしか使えない“力”があった。
俺はまだ、この力の本当の意味を知らない。
でも、ひとつだけはっきりしている。
「なぜかトイレに異常に詳しい」
そんな人生が、世界を変えることもあるって話だ。