あらすじ
『一階です。ドアが開きます』
さて、ようやく……ん?
「……あの、降りるんですけど」
休日の家電量販店。音声アナウンスがエレベーターの一階到着を告げると、おれは小さく安堵の息を漏らした。仕事の疲れが抜けず、今日は一日家で過ごすつもりだったのだが、ドライヤーが壊れていたのを思い出し、しぶしぶ足を運んだ。
疲労と眠気にまとわりつかれながら買い物を終え、エレベーターに乗る。
人混みに揉まれ、もううんざりだ。さっさと家に帰りたい――そう思っていたのだが、ドアが開いても、なぜか先頭にいた大柄な男が降りようとしない。腕と脚を広げて突っ立ち、まるで「誰も通さん」とでも言いたげに、出入口を塞いでいた。