あらすじ
松井花恋(かれん)(本名・清水杏花(きょうか))は、売れない女優歴五年の二十三歳。高校卒業と同時に地方から上京。ファミレスでバイトをしながら、オーディションを受ける日々を送っていた。
ある時、お金が無い中で演技力を磨くために、マッチングアプリを使った自分なりの『レッスン』を思いつく。それは、役になりきり見た目をガラリと変えて、年上の男と会い、ご飯を奢ってもらうことで、演技の練習をしつつ食費も浮かせるというものだった。
バイト先では、役者志望の泉真衣(まい)と北川理玖(りく)、歌手志望の雷斗(らいと)の学生三人と交流があった。中でも真衣は、政治家と元女優の両親を持ち、大手芸能事務所に所属。恵まれた真衣に対して、花恋は「生まれの格差」を目の当たりにする。真衣がドラマの主演に抜擢されたことをきっかけに、焦燥感に駆られた花恋は『レッスン』で、それまでプライドのためにしてこなかった、セックスの見返りにお金をもらうことを覚えた。回数を重ね、それで得たお金で韓国に行き鼻の整形をする。現状を変えたい一心でしたことだったが、仕事の結果には繋がらなかった。その頃には真衣は雲の上の存在になっていた。
ある日のバイト終わりに、雷斗が真衣に会いに行くことを知る。花恋は雷斗を尾行し、二人が落ち合うところを写真に撮る。有名監督の舞台オーディションで奇跡的に審査に残り、真衣と争うことを知った花恋は、週刊誌にそれを匿名で投函。しかし、週刊誌の報道前に最終審査を迎え、『レッスン』で演技力を上げていた花恋は実力で役を勝ち取る。その直後に週刊誌の報道で真衣の熱愛が世間を騒がせる。真衣は政治家である父親のコネを使い、状況からしてタレコミをしたのが花恋だと疑い、花恋のバイト終わりに尋ねて来る。しかし花恋は迫真の演技で無実を訴え、難を逃れる。『レッスン』を通して感じていた、世の中「本当のこと」が蔑ろにされているという考えは、花恋の中で真理へと変わる。その後、実は身長詐称をしていた理玖に、自分を見失い苦しんでいた告白をされるも、花恋は演技をすることにおいてはあくまでも冷静だったため、理玖の話に共感はできなかった。
ショートドラマのヒットと舞台の成功によって、一躍有名になった花恋の生活は一変。順風満帆の中、舞台の千秋楽を迎えた日の朝、突然警察が訪ねてくる。一年前に初めて売春をした男が、闇バイトの受け子として逮捕され、それで得た報酬をアプリで知り合った女にホテルで盗まれたと供述。花恋は任意同行を一旦拒否し、男のことは知らないふりをした。千秋楽公演中に、花恋がその男と関与していたことをマネージャーがリーク。ネットニュースになり瞬く間に炎上。舞台は無事終了するが、会場の外に出るとマスコミが待ち構え、花恋は大量のフラッシュに囲まれる。しかし、生まれて初めて大きな注目を浴びることに快感を覚えた花恋は、嬉し涙を流しながら、潔白の自分を演じる決意をする。