あらすじ
この街には、天使の守護があると言われていた。
教会併設の修道院で生活するひとりの少年。彼には秘密があった。
だれかからか授けられた『天の使い』としての使命と力。それに準じて、自分が住んでいるこの街を人知れず悪人から守っていた。
普段は修道院で仲間と一緒に祈りを捧げ、畑仕事や染色など細々とした仕事をして過ごしているけれども、天の使いの使命を受けた時には、自分よりも大きく、力が強く、そして悪辣な大人を相手にしなくてはいけないことも少なくない。
たまに困っている街の人の手助けをしたりすることもあることもあり、天の使いである少年は、街の人から尊敬され、大切にされていた。
天の使いである事を隠し修道院で過ごしている少年は、仲の良い友人と共に平穏な日々を過ごす。
時折、仕事中にやらかして大泣きする友人を宥めたり、こわい夢を見たと言って頼ってくる友人、夜中に寂しくて眠れないという後輩。
いつも頼られているけれども、たまには誰かに頼りたいと思いながらも、甘えられるとついつい構ってしまう。
修道院では、そんな穏やかな時間が流れているのだ。
穏やかの時間の合間に、少年は天の使いとなる。
街中の悪を裁くために。
しかし、悪事を働くのは大人だけではない。時として子供すら裁かなくてはいけないことに天の使いは心を痛める。
貧しさ故に罪に手を染める子供を、どうしたら救えるのか。それを訊ねても出来ることは祈ることだけだと、そう言われる。
隣人たちがすこしでも幸せであるように、祈るしかないのだというのなら、真摯に祈り続けようと心に決める。
天の使いの使命で疲れてしまう少年の心をほぐしてくれるのは、やはり修道院で暮らす友人達だった。
友人達は天使の正体を知らない。星空を見ながら天使はどこから来るのか、そんな話を天の使いである少年の横で口にする。
真実を伝えることはできないけれど、いまだ子供である自分たちを助けてくれている大人のように、自分も子供を助けられる大人になりたいと願った。