あらすじ
幽霊の存在を断固否定する男と幽霊の存在を証明しようとする男。
イケメン大学生とフツメン大学生。
バイト掛け持ち苦学生と生粋のボンボン学生。
見た目の割に常識人とガチのヤベェ奴。
なにもかも違う二人に共通するのはたった一つ――幽霊が見えること。
しかし、一人は見える”なにか”を否定して自分の殻に閉じこもり、一人は自分しか見えない”なにか”を証明したくて孤軍奮闘していた。
そんな二人が出会った時、世界に光が差して――見えざる”なにか”も蠢き出す!
――――――
都内の大学に奨学金で通う広瀬鈴(ひろせれい)は、数年前の震災で家族を亡くし、今は東京のマンションで女優の叔母と二人暮らししていた。
独身で仕事も忙しいのに自分を引き取ってくれた叔母に迷惑をかけまいと、アルバイトに明け暮れ、勉強も頑張る鈴を悩ませるのは――自分にしか見えない、いわゆる幽霊と呼ばれる存在。
ある日も朝帰りの途中、自殺の名所として有名な某駅で、電車に飛び込む男の幽霊に遭遇する。顔面蒼白になる鈴だが、自分以外の誰も見ていないはずだと恐怖を必死で堪えた。
いつものようにそうしたが、反対のホームで、鈴になにか訴える男がいた。
「見た?」
ありえないことだった。自分と同じものを見ている”人 ”がこの世に存在しているなんて――。
鈴と同じものを見たのは、江藤新一(えとうしんいち)。偶然にも彼は同じ大学の他学部に通う学生で、学内で鈴を見つけると、幽霊が見えるのか? と嬉しそうに話しかけてきた。
新一は、お金持ち学生が多いその大学の中でもトップクラスのお坊ちゃまで、大手映画配給会社の社長の長男だった。
典型的なボンボンの慎一だが、彼はかなりの変わり者で――。
「一緒に心霊スポット巡りしよう!」
新一は、鈴をそう誘った。近場の温泉にでも誘うように。
その悪魔の誘いをキッカケに――恐怖と、ちょっとだけ切ない、二人の物語が始まる。