あらすじ
鈴木(すずき)龍円(りゅうえん)は菰野岩高校に入学したばかりの一年。
左腕ピッチャーで甲子園を目指し野球を続けてきたが、中三の時に事故で左肘を故障。野球は断念せざるを得なくなり、第一志望高であった地元強豪校への進学を断念した。実家は三日市と菰野岩の境にある寺で鹿鈴寺(ろくりんじ)。
龍円の幼なじみである斉藤(さいとう)空也(くうや)は一つ年上の二年。同じく少年野球で汗を流し、三日市の強豪私立高校・海青(かいせい)高校に進学。甲子園にもキャッチャーとして出場したのだが、甲子園から戻ってしばらくしてから部屋に引きこもるようになってしまっていた。
頻繁に空也をたずねている龍円。ある日空也の母親から、空也が最近独り言を言うようになったのだと聞かされる。断片的なそれらを繋げ合わせると、どうやらこうなるらしい。
「霜が終わるころ、どうぞ迎えにいらっしてください」
龍円の叔父である蛇来(へびらい)庚午(こうご)は、龍円にこんな話を聞かせた。
「甲子園に出場した球児の中で、球場から戻ったあと、幽霊だか魔物だかを目撃するようになってしまった連中がいる。中にはおかしくなってしまった者もいるし、死者も出ている。それも全国各地にだ。だから、甲子園には魔物がいると言われている。お前を魔物にする、とても恐ろしい魔物が」
空也を助けたい龍円は、友人の柊太に相談し、校内に存在している「菰野岩高校の謎調査同好会、略して『調査部』」の存在を教えてもらい、協力を求めることにする。
訪ねていった図書準備室には、二年生の鍵丸椎菜とその従兄弟である鍵丸茜、それからもう一人のメンバーである同じく二年の村岡咲笑の姿があった。
村岡の登場に驚く龍円。
龍円はしばらく前に、村岡が学校の裏手で幽霊と対話している姿を目撃していて……。
甲子園の魔物とは何か。
日本各地で目撃されている坊主頭の男子の正体とは一体なんなのか。
そして、龍円は空也を救うことができるのか。
全国をまたにかけた『調査部』の挑戦がはじまる。
1.肉と関節
2.甲子園の魔物
3.調査部
4.されこうべと血
5.山怪
6.摘芯
7.一心二葉
8.茶碗の中
9.さよなら一握の砂