あらすじ

「あの方、これから殺人を犯しますわ」  僕が仕える平坂あやめお嬢様は、良家の令嬢のみが集まる帝国女学院二年生。そして、彼女は他人の「殺意」を視ることができる、特殊な能力の持ち主だった。  華やぐ帝国女学院の新入生歓迎パーティー。完璧に見えるその学園の裏では、誰にも知られぬ歪んだ殺意が芽吹いていた。あやめお嬢様が指差したのは、笑顔で挨拶を交わす一人の女学生。その瞬間、大勢の生徒たちが集うホールで、帝都を震撼させる連続殺人犯「怪人ジゴマ」による、白昼堂々の凶行が始まった。まるで時間が停止したかのように誰もが立ち尽くす中、怪人はただ一人、被害者の胸をナイフで貫いたのだ。  なぜ怪人は、公衆の面前でためらいなく犯行に及んだのか? その力を見せつけたいのか? あるいは、誰にも気づかせない巧妙なトリックが隠されているのか?  殺人鬼の正体とトリックを見抜いたあやめお嬢様。だが、それは序章に過ぎなかった。学園に隠された過去と、想像を絶する真実が、彼らをさらなる深淵へと誘う。人が抱く「殺意」そのものに強い興味を抱いていた彼女は、抑えきれなくなった殺意が爆発する瞬間を「見届けたい」と願い、これ以上犠牲者を出したくないと願う僕と、正反対の動機を抱きながら、謎を追う。  彼女の視る「殺意」を信じ、僕の「論理」で真相を追う。その二つの力が交差するとき、大正浪漫のきらめく光の裏に潜む、想像を絶する「闇」が姿を現す。  これは、「殺意が視える」お嬢様と、彼女に見つけられた書生(僕)が、大正浪漫のきらめく光の裏に潜む「闇」に立ち向かう物語だ。 ■登場人物紹介 平坂あやめ 殺意を見抜く少女。帝国女学院に通う女学生。16歳。       結った髪を大きなリボンで結び長いまつげが可愛らしい。       女学生スタイルで小袖の上から行灯袴を履く。       足元はレースアップの編み上げブーツ。       天婦羅饂飩とひっつみが好き。 書生    語り部。探偵の助手役。犠牲者を出したくないと願う。       あやめの危険な好奇心に振り回されながらも、彼女を支       え、事件に立ち向かう。       書生スタイル。袴の上下に中だけ洋風シャツを着る。       あやめに見つけられ、あやめに仕える。       カレーライスがたまらなく好き。 花守きらめ 帝国女学院の女学生で理事長の娘。リーダー的存在。       セットに2時間かかるアイロンを使った巻き髪が自慢。       言葉遣いが独特のお嬢様オブお嬢様。       事件に巻き込まれ、ジゴマの標的となる。       トンカツが好物だが秘密。肉食は野蛮ですわ。 怪人ジゴマ 帝都を震撼させる連続殺人犯。       「罪を償え」というメッセージカードで予告し、       まるで奇術のような殺害方法を行う連続殺人犯。       腐敗した社会を裁くという狂信的な「正義」を掲げる。 ■時代背景  大正浪漫。和洋折衷の文化が花開き、モダンな雰囲気と古き良き日本の伝統が入り混じる文化が開花した時代。  急速に電化が進み、街には電柱、電線、電灯、電車が走り、建物にエレベータが、家庭に電気ストーブにアイロン、食べ物はミルクキャラメルにカルピス、カレーライスにコロッケ、オムライスが流行する。  期待と不安に溢れ、活動写真など新しい文化に熱狂するも、まだ女性が自由に仕事や結婚相手を選べなかった時代。  帝都を震撼させる連続予告殺人事件が起きていた。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2025/08/17
  • 現在の作品あやめのめ〜大正浪漫捕物帖〜