あらすじ
ヒルデガルドは思った。
今の自分は、ヒルデガルド・へスティング・ラドモンド。多分。
多分というのは、つい数刻前、夜が明ける前までは、別の名であったから。
一番新しい記憶では、ヒルデガルド・ウォール・ロングフォール。ロングフォール侯爵夫人と呼ばれていた。
ヒルデガルドは夕べまで、正確には三日前まで夫だった男性を思い浮かべた。
クリスフォード・ウォール・ロングフォール。三日前まで、ロングフォール侯爵家当主だった。
享年四十一歳。
昨日は、夫の弔いの日だった。
ヒルデガルドはどうやら、夫の葬儀を終えたその夜に、自分もまた命を終えたらしい。
命の幕を閉じる直前に、ヒルデガルドは神に祈った。
ヒルデガルドには後悔があった。
「後悔することが二つございますの。まず一つは、夫の妻になったことです。あの方それで、愛する女性を長いこと妾にするしかなかったのです。ですから、ダメ元でお願いしてみたいのですけど、」
「死に戻っても良いかしら」
果たして神は、ヒルデガルドの願いを叶えた。
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