あらすじ
おれは『夢男』だ。誰かにそう呼ばれているわけじゃないが、いずれはそんなふうに都市伝説のような存在として、人々の間で恐怖とともに語られるようになるだろう。
男も女も、子供も老人も、おれに逆らうことはできない。やりたい放題だ。警察だろうが軍隊だろうが、絶対におれを止めることはできない。なぜなら、おれの犯行は“夢の中”で行われるからだ。
そう、おれは他人の夢に入り込み、自由に行動できるのだ。
この能力に目覚めたのは、つい最近のことだ。原因はわからない。だが、他人の夢に入る条件は単純明快だ。現実世界でその人に一度触れるだけでいい。
赤の他人でも、たいして難しいことじゃない。おれはよく、小銭をわざと落として拾わせる。手が触れた瞬間、ビリッと静電気めいた刺激が走る。それが、条件達成のサインだ。
あとは眠りにつくだけ。もちろん、相手も眠っている必要があるがな。だが、それさえ満たせば、夢の世界での支配権は完全におれのものだ。