あらすじ
トンネル程の大きさの下水道。
何かの腐敗が鼻孔を刺す。
真ん中には汚水がゆるく流れ、ぬかるむ通路は壁をなぞるように続いている。
僕はぬるりとする斜めのコンクリートを頼りに、奥へ奥へと、足を擦っていた。
何度も臭く汚れた水滴が顔に垂れる。
多分もう、右手の甲や顔は見る影もない。
全く見えない出口だけを信じ、声を響かせ、折れそうな心をやっとの思いで奮い立たせていた。
ふと、足元で何かがパキと鳴らす。
徐々に音は増える。
膝丈までなったその中には、足や腕がしっかりと原形を留めている物もある。
骸が敷き詰められていたのだ。
震える足を止める事が出来ない。
対岸では見慣れた生首が、幾つもならび金切り声で泣いていた。
僕は後悔する。
黒い涙を流しながら、何度も後悔する。
何故わかっていて、この足を止められなかった
知っていた。
理解していた。
熟知していた。
予想していた。
想像していた、はずだった。
ここは夢を紡ぐ狭間、現実を踏み潰し、僕はただひとり、転がるように底へ、底へと落ちていく