あらすじ
私は王だ。沈黙の森の、孤独な王。
私の名はヘカトンケイル。
軍事用サイボーグプロジェクト「百手計画」が生み出した最悪の遺物。私の瞳に映るものは全て死に、私の息に触れるものは全て枯れる。半世紀もの間、この死の森で誰とも語らず、ただ一人。
だがある日、一人の少女が迷い込んできた。目の見えない彼女は、私を恐れなかった。私の心が奏でる悲しい音を聴いて、そっと隣に座ってくれた。彼女の名は、リラ。
生まれて初めて、誰かが私の傍にいてくれる。生まれて初めて、私を見て死なない存在がいる。私の機械の心臓が、人間だった頃を思い出す。これが愛というものなのか。
だが私たちの愛は呪われている。私は彼女に触れることができない。見つめることさえ許されない。私の身体は歩く兵器であり、彼女を殺してしまう運命にある。
それでも、愛は存在する。
やがて明かされる残酷な真実。その時わたしたちは――。
触れ合えぬ愛が、やがて永遠の奇跡を生む……