あらすじ
人に拒絶され、心を閉ざして生きてきた三人の青年――。
それぞれの時間の中で「過去」「現在」「未来」を象徴する彼らの物語が、一本の青い糸のように薄く重なり合っていく。
第一章(昨日)
田舎の無人駅で孤独に生きる由宇は、母のマフラーと手紙を風に託す。「昨日の僕を赦せますように」と願いながら。
第二章(今日)
社会に居場所を見つけられず薬に頼る蓮は、公園で偶然そのマフラーと手紙を拾う。そこに綴られた言葉を、自分自身の祈りのように受け取り、「いま、ここにいる人とちゃんと会う」と決意する。
第三章(明日)
未来を諦めかけた海斗は、青い糸で綴じ直したノートに「理想を捨てて、いまを生きる」と書き残す。風にほどけて流れていくマフラーは、再び誰かの肩に触れるかもしれない。
それは、誰かの「昨日」を赦す祈りが、別の誰かの「今日」に変わり、また新しい「明日」へと続いていく連鎖。
人は過去を受け入れ、今を生き、もう叶わない理想を手放しながら、それでも歩き続ける。
今日と言う明日が、昨日になるまで。
三つの物語は、儚くも甘酸っぱい風景の中で、静かに重なり合う。